プラスチックとともに海を泳ぐ生物の写真を見て、可哀そうだなと思ったことがあるのではないでしょうか。海にたどり着いたプラスチックの量は年々増え続け、その量は2050年までに海にいる魚の重量を超してしまうともいわれています。
しかし、プラスチックの影響は自然の生物たちにとどまりません。私たち人間にもその影響を及ぼし始めています。
本記事では、特に「マイクロプラスチック」の私たちへの影響、そしてマイクロプラスチックを削減するために私たちにできることについてみていきます。
マイクロプラスチックが人間に与える影響
マイクロプラスチックとは、5mm以下のとても小さなプラスチック破片の総称です。
現在、海底には1400万トンものマイクロプラスチックが堆積しており、毎年150万トン追加されています。
海にたどり着いたマイクロプラスチックをプランクトンが摂取し、そのプランクトンを小魚が食べ、中型の魚が小魚を食べ、最終的には人間の食卓にマイクロプラスチックが回ってきます。
Green Peaceによると、私たちは日々の生活の中で10日間あたりクレジットカード2枚分のプラスチックを食べていると言われています。
UnsplashのBrian Yurasitsが撮影した写真
自然由来ではない、人工物が予期せぬ形で体内に入るという事実だけで、多くの人はいやだなと感じるかと思います。しかし、それだけではなく、マイクロプラスチックによる健康被害が生じる可能性もあるのです。
マイクロプラスチック汚染の研究者、東京農工大の高田秀重教授によると、まだ研究段階ではあるものの、いくつ考えられる影響があるといいます。
① プラスチックに含まれている環境ホルモン(化学物質)により、生殖系に影響を与える
② 環境ホルモンが生物に必要な成分を攻撃し、免疫力の低下を引き起こす
③ アレルギーや肥満に影響を与える可能性がある
参考【専門家の解説】マイクロプラスチック汚染、海や環境、健康影響についてわかってきたこととは? : 国際環境NGOグリーンピース
マイクロプラスチックはどこからやってくるのか
マイクロプラスチックの主な発生源の一つが衣類です。
海に放出されるマイクロプラスチックのうち16~35%は衣類から出されたものと推測されています。
世界で生産されている衣類の60%以上は石油由来の合成繊維です。つまり、プラスチックです。合成繊維でできた衣類が洗濯されたり、乾燥機にかけられたり、日常で着られている中で繊維が抜け落ちます。これが、やがて自然へと放たれます。合成繊維から抜け落ちた繊維をマイクロファイバーと呼びます。
マイクロプラスチックファイバーを減らすためにできること
① 合成繊維(ポリエステル)からできた衣類の購入を避ける
天然繊維から作られた衣類であれば、繊維が抜け落ちたとしても、自然へと還ります。
② 服を長く使う/古着を購入する
マイクロファイバーと服を長く使うことに何の関係があるの...?と思われるかもしれませんが、新品の服を洗濯する時が最もマイクロファイバーを放出します。新しい服をたくさん買うほど、最初の数回の洗濯が増えるということなので、マイクロファイバーをたくさん出していることになります。
③ 洗濯時のマイクロプラスチックを少なくするグッズの活用
1)マイクロファイバーをキャッチしお洋服を守る洗濯ネット
いくつか種類がありますが、どれもキメの細かいネットを使用しており、マイクロファイバーが流れていくのを防いでくれます。
2)Cora Ballを使う
洗濯時にサンゴ礁をモチーフにしたいくつも穴が空いたボールを入れることで、マイクロファイバーを絡めとってくれます。
まとめ
かなり大量のマイクロプラスチックが海に放出されており、今後その影響は私たちにもでてくると考えられます。
マイクロプラスチックの排出源のひとつである、合成繊維のお洋服。ひとりひとりが防げるマイクロプラスチックの量は、海に放出されている量に比べたら微量かもしれないけれど、その輪が大きくなることを願っています。