今、オンラインショッピングのカートの中に入っている服。原材料は何でできていますか?あまり素材を意識せずに選んでいたら、60%の確率でポリエステルやアクリル、ナイロンといった合成繊維の服を選んでいると思います。
ショッピングのお会計に進む前に知ってもらいたく、本記事では合成繊維の問題点とより良いオプションについてお話します!
合成繊維の問題点
合成繊維の原材料はペットボトル等のプラスチックと同じ「石油」です。なので、合成繊維には「石油」ならではの環境負荷がある繊維です。
合成繊維そのものを知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。
1)石油枯渇の可能性?!
資源エネルギー庁によると、世界の石油使用量は1965年の37億トンから年2.3%のペースで増加し続け、現在、その量は133億トンにまでなっています。
ちなみに、世界の石油使用量のうち化学繊維が占める割合は1.35%で、約1.8億トンの石油が毎年服になっています。
使用量は年々増加しているものの、新たな油田を見つけることができるだろうということと、採掘技術の向上と効率化アップのおかげで、すぐに原油の供給量が急激に下がるということはないという意見があります。
しかし、一方で、開発してきた油田の多くは既に枯れ始めていて、原油の供給量は大幅に減少するという見方も存在しているのが事実です。
つまり、現時点では誰にも確かなことはわからないということです。そうであるのならば、最悪ケースを基準に対策をすることが賢明といえるでしょう。
2)温暖化への影響
プラスチックのライフサイクル(製造や廃棄過程)の中で、CO2が排出され温暖化へ影響を与えています。
まず、製造の過程でのCO2排出です。
石油からプラスチックが作られるには何段階か工程を経る必要があります。
工程①:石油精製工場で重油・軽油・灯油などいくつかの種類に分類します。この分類された中の一つ「ナフサ」がプラスチックの原料です。
工程②:このナフサをさらに高温で分解して基礎化学品をつくります。
工程③:基礎化学品を組み合わせてプラスチックを作ります。
温暖化の原因となるCO2は工程②の際、ナフサを燃焼させることにより発生します。この工程②で、日本国内だけでも年間3100万トンのCO2が排出されます。
リサイクルは解決策か?
リサイクルの落とし穴
プラスチックのライフサイクルでもう一つCO2が排出される工程があります。それがリサイクル過程です。
リサイクルには「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3種類があります。「マテリアルリサイクル」や「ケミカルリサイクル」は皆さんの想像通りのリサイクル方法だと思います。不要になったものを新しいモノに生まれ変わらせるということ。
しかし、「サーマルリサイクル」は少し意味合いが異なります。「サーマルリサイクル」はゴミとして出されたプラスチックを焼却炉で燃やして、その熱を有効活用することを指します。
日本のリサイクル率は84%ですが、そのうち約57%がこの「サーマルリサイクル」によるものです。
そして、この「サーマルリサイクル」によってプラスチックから排出されるCO2が年間1,500万トンにも上ります。
「サーマルリサイクル」にプラスチックが送られなくなったら、電力量が減ったりしてしまうのでは?という疑問が残りますが、それはまたの機会に調べていきたいと思います。
合成繊維を買うなら繊維からリサイクルされた服を選ぼう
昨今は様々なブランドがリサイクル繊維を使ったコレクションを展開しています。そのうち、多くのブランドがペットボトルなどの既にリサイクル技術や回収フローが確立しているプラスチックから作られた繊維を使っています。
しかし、よりサステナブルな選択肢を取るのであれば、繊維から作られたリサイクル繊維をぜひ選んでもらいたいと思っています。その理由は2つあります。
理由①:ペットボトルを繊維にするよりも、再生ペットボトルにする方がリサイクルの効率化がよい。
理由②:繊維to繊維リサイクルはまだ一般的ではなく、服の回収フローも整っていない。そのため、繊維to繊維リサイクルを積極的に選ぶことで、インセンティブを会社に与え、その輪を大きくする。
繊維to繊維リサイクルを取り扱っているブランドについても、今後どんどん紹介していきたいと思っています。
まとめ
現在世の中に出ている服のおよそ60%は合成繊維です。合成繊維は石油由来のため環境へのインパクトが少なくない繊維です。
確かに、合成繊維製の服は他に比べて安く買うことができます。しかし、だからと言って大量消費をしていたら、私たちはいずれ「環境問題の悪化」という形でそのつけを払うことになるかもしれません。
合成繊維の代替になるものを探す、繊維to繊維リサイクル製品を探す、そもそも買い物をあきらめる等、私たちができるアクションを探していきましょう。
【参考】カーボンニュートラルで環境にやさしいプラスチックを目指して(前編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
温暖化の対策 Q15 石油がなくなれば温暖化は解決? - ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター (nies.go.jp)