サステナブルファッションとは? サーキュラーエコノミー マテリアル

Econylとは?廃棄カーペットから作られるナイロン!

これからは、ナイロンを作るために貴重な石油をつぎ込む必要がないかもしれない―――

新たに採掘された石油を使わずに、既に存在しているナイロンから生み出されたEconylという再生ナイロンについて本記事では掘り下げていきます!

Econylの特徴

EconylはイタリアのAquafil社によって開発された再生ナイロンです。最大の特徴といえのがそのクオリティーです。

独自のリサイクル技術により、不純物を完全に排除しているのでバージンナイロンと変わらないクオリティーを保つことができます

そのため、ECONYLはPradaやGucciといったハイブランドにも使用されています。

サステナブルアクティビティの一例を示すため

Re-Nylon mini backpack, PRADA

Econylができるまで

Econylはナイロン製の廃棄物を集めるところから始まります。例えば、海や川で放置されている漁綱や廃棄されたカーペット、工場からでる生地くずなどがその原材料になっています。

埋め立てや投棄され自然に残されるはずだった大量の廃棄物が新しい製品になるために回収されていくのです。

例えば、アメリカ合衆国だけで毎年約180万トンものカーペットが埋め立て地へ廃棄されているそうです。そこで、Aquafil社はアメリカ合衆国に2つのカーペットリサイクリング施設を立て、それぞれの施設で毎年およそ1万6千トンものカーペットをリサイクル処理しています。

選別・浄化のプロセスで不純物を完全に排除し、新しいナイロン素材へと生まれ変わります。

その後、織り糸として生成され様々な会社の製品へと形を変えていきます。

Econyl vs バージンナイロン

次に、1,000トンのバージンナイロン(リサイクルではなく石油からつくりだされたナイロン)をEconylに置き換えた場合、どのくらい環境にインパクトがあるのか見ていきましょう。

まず、70,000バレルの石油を節約することができます。

次に、CO2排出量です。リサイクルの過程で意外とCO2がでるのでは...?と思っていましたが、なんとバージンナイロンと比べて90%もCO2を削減できるとのことです。

Econyl使用ブランド例

先述の通り、Econylはそのクオリティーの高さゆえ、スポーツブランドからラグジュアリーブランドまで様々なファッションブランドに使われています。Econylを使ったブランドはEconylのウェブサイトから確認することができます。

adidas

adidasは2017年にAquafil社とパートナシップを結び、100%Econylを使用したPaeley Hero swim rangeを発表しました。

 

Prada

2019年PradaはRe-Nylonという新しいプロジェクトを展開し、Econylを使ったPradaのアイコニックなバッグを発表しました。プレスリリースでも明記されている通り、現在製造しているプラダナイロンはすべてRe-Nylonに切り替わっており、バージンナイロンは使用されていません。

National Geographicによって製作されたRe-Nylonのショートフィルム。

しかし、リサイクルナイロンは完璧な解決策ではない

海洋学者によるとプラスチック問題はリサイクルのみでは解決できる問題ではないといいます。もちろん、海に漂うプラスチックを回収し、それを新たな資源とすることには大いに意味があります。

しかし、根本的な問題はプラスチックに頼りすぎた社会になっているということです。リサイクルされていることが、プラスチックをこれからも大量に使用していい理由となってしまっては本末転倒です。社会にあふれているプラスチックの量そのものを減らす方向へシフトいかなければなりません。

 

【参考】:Recycled plastic swimsuits aren’t as green as you think | Vogue Business

ADIDAS: 'LOW WASTE PRODUCTION' SWIMWEAR - Econyl

adidas develops new swim range using regenerated ocean waste (knittingindustry.com)

 

  • この記事を書いた人

キャペル

「Sustainable Fashion」について学ぶ過程をみなさんと共有したいブログです。
ベルギー在住で、現在オンラインでパリの大学院に通っています。
(専攻:Fashion Marketing & Sustainability) ヨーロッパのアパレル&繊維の業界団体でサーキュラーエコノミーのプロジェクトに携わっていました。

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