家の中にある衣類のタグを見たときに、一番遭遇率が高いのがポリエステルだと思います。
あまり特徴は知らないけど、お手頃価格で買えるので、気づいたらクローゼットがポリエステルだらけになっているという方は多いと思います。
今回はポリエステルを含む、合成繊維についてお話します!
合成繊維とは?
繊維は大きく分けて、自然由来の「天然繊維」と化学的なプロセスを経て製造される「化学繊維」に分類されます。
さらに、化学繊維は合成繊維と再生繊維に分けられます。合成繊維は石油を原料としており、ポリエステルやナイロンが含まれます。一方で、再生繊維は木材などを薬品で溶かして繊維にしています。
合成繊維は世界で最も生産されている繊維で、全繊維生産量の62%を占めています。合成繊維の最大生産国は中国です。
本記事では3大合成繊維と言われている「ポリエステル」「ナイロン」「アクリル」の特徴と環境負荷を見ていきます。
参考 Synthetics & Sustainable Synthetic Fibres :Common Objective
ポリエステル
ポリエステルとは一般的にポリエチレンテレフタレート(Poly-Ethylene-Terephthalate)を指します。ポリエチレンテレフタレート(Poly-Ethylene-Terephthalate)の略称はPETです。つまり、ペットボトルと同じ原料です。
Unsplashのcharlesdeluvioが撮影した写真
特徴
① 速乾性
繊維の中に水分が入りこまないので、汗が生地に触れたときにすぐに拡散して発散します。この速乾性があることで、服が肌に張り付いたり、汗が体を冷やさないのでスポーツウェアによく使われます。
② 耐久性
繊維が丈夫で切れにくいので、洗濯を繰り返しても縮んだり型崩れをすることがほとんどありません。
③ カビや虫害を受けないので保存が簡単
天然繊維と異なり、石油由来の繊維を虫は食べません。よって、虫害を受けにくいです。(食べ残しなどが繊維の上に残ったままになっていない限り!)
④ しわになりにくい
元の形状を維持する性質があるためです。
次にデメリットを見ていきます。
デメリット
① においや汚れを吸着しやすい傾向にある
洗濯をこまめにしたり、洗浄力の強いアルカリ洗剤を使う必要があります。
② 静電気が起こりやすい
パチッと痛いだけでなく、静電気は毛羽立ちの原因となります。
ナイロン
ナイロンはポリアミドと言われる合成樹脂から作られた繊維を指します。ポリエステルの次に多く生産されている合成繊維です。
特徴
① 耐久性
引っ張りや摩擦に強いので、アウターなど外気に触れる用途に向いています。また、洗濯による劣化も少ないです。
② 軽量
③ 弾力性
折り曲げても型崩れしにくいです。
④ カビや虫害を受けないので保存が簡単
次にデメリットです。
デメリット
① 紫外線や日光照射によって黄色みがかかってしまうことがある
② 熱耐久性が低い
熱を加えると溶けてしまうため、乾燥機の使用は避けましょう。
アクリル
アクリルも石油からできた繊維ですが、化学繊維の中でもウールに近い性質を持った繊維です。
特徴
① 柔らかく弾力がある
合成繊維の中で弾力のある素材なので、柔らかくて弾力性があります。ウールの代わりとして用いられることがありますが、ウールよりもチクチク感が少ないです。
② 保温性に優れている
ウールのように空気の層がたくさんあるので、ウールほどではありませんが保温性があります。
③ シワになりにくい
繊維に弾力性がありシワになりにくいです。また、回復力があるので、小さなシワであれば水分を含ませることで元の状態に戻すことができます。
④ カビや虫害を受けないので保存が簡単
次にデメリットです。
デメリット
① 静電気が起こりやすい
静電気が起こりやすく、毛玉ができやすいです。
② 吸水性・保湿性がない
登山など汗をかく場面での使用は向いていません。
合成繊維の問題・環境に優しい点
① 焼却処分をする際に人体に有害なガスを発する可能性あり
合成繊維はプラスチックなので、プラスチック専用の焼却炉で焼却しないと、人体に有毒なガスを発してしまいます。
② 自然に還るまでに時間がかかる
合成繊維は生分解性ではないため、埋め立て処分をした際に、自然に還るまでに膨大な時間を要します。
③ マイクロプラスチックを放出
合成繊維いっぱいの洗濯機を一度回しただけで、約70万個のマイクロファイバーが放出されると言われています。
④ 製造過程での水質汚染
合成繊維を製造するために、たくさんの化学薬品を使用します。正しく管理されていない工場ではこれらの薬品が川や土壌に流れ出てしまうケースがあります。