環境問題や動物愛護の観点から、リアルレザーを購入することを迷っている方はいませんか?それでも、革製品がファッションにもたらしてくれるエレガントさは手放しがたいですよね。
本記事では、レザーアイテムを取り入れたい場合のリアルレザー以外の選択肢についてみていきたいと思います。
レザーの種類
まず、レザー及びレザーの代わりとして使われる素材にはどのような種類があるのかみていきましょう。
1)本革
まず、言わずもがな、動物の皮から作られた本革。丈夫で長く使えるので、経年変化を楽しめるというメリットがあります。
一方で、畜産業が環境に与える影響、鞣し(なめし)工程で使われる薬品が労働者やローカルの人々に与える影響は小さくありません。詳しくは以下の記事で詳しく書いています。
2)エコレザー
「日本エコレザー基準(JES)」の定義は以下の通りです。
エコレザーとは「日本エコレザー基準(JES)」に適合し、「製品の製造・輸送・販売・再利用」までの一連のライフサイクルのなかで、環境負荷を減らすことに配慮し、環境面への影響が少ないと認められる革材料を指します。
つまり、より環境負荷が少ないことが約束された革ということです。
日本エコレザー基準の認定条件は主に3つあります。
- 天然皮革であること
- 排水・廃棄物処理がされた工場で製造されていること
- 臭気、化学物質(ホルムアルデヒド・重金属・PCP・禁止アゾ染料・ 発がん性染料の使用制限)および染色摩擦堅ろう度に関する一定の基準を満たしていること
日本エコレザー基準に適合すると、以下のようなラベルを表示することができます。
3)ヴィーガンレザー(石油由来)
基本となる布の上に石油由来の合成樹脂を塗り重ねてリアルレザーに似せたものです。なので、動物の皮を使用していません。
石油由来のヴィーガンレザーは主に①PUレザー(ポリウレタン樹脂)と②PVCレザー(塩化ビニル樹脂)の2種類があります。
石油由来のヴィーガンレザーのメリットは何と言っても、価格が安いことです。また、リアルレザーと異なり耐水性があるので、洗濯頻度が必然的に多いパンツやスカートに使用されていることが多いです。
一方で、リアルレザーは何十年と使える製品が多いですが、石油由来のヴィーガンレザーは経年劣化し3年ほどで消耗してしまう傾向にあります。例えば、PUレザーは表面がべたついてきますし、PVCレザーはひび割れを起こします。
4)ヴィーガンレザー(植物由来)
動物の皮を使わず、かつ、石油由来の樹脂ではない植物由来の新しいレザーが生まれています。石油由来のヴィーガンレザーと比べると高価ですが、石油資源の消費を抑えることができます。
特に最近注目をされている植物性ヴィーガンレザーは4つあります。その植物とは、キノコ・パイナップル・リンゴ・サボテンです。
① マッシュルームレザー
マッシュルームレザーはキノコの菌糸体を培養して作られます。その柔らかな手触りと上質な質感があるので、本革の高級感を味わえる素材です。また、引っ張り強度も本革とあまり変わりません。
菌糸体は数週間で成長するので、生産効率がよいという点は生産者にとっては魅力の一つでしょう。
また、製造過程で環境に影響のある化学物質を使用しない/水の消費量が少ない点は従来の本革と比べて環境に優しい点と言えます。
② パイナップルレザー
廃棄されるはずだったパイナップルの葉の繊維を活用しているレザーです。
柔らかく軽い生地感で紙やフェルトに近い質感や性質が特徴です。そのため、革独特の質感や高級感を欲している人は少し物足りなく感じてしまうかもしれません。
経年劣化は石油由来のヴィーガンレザーと比べるとあまり気になりませんが、引っ張りに弱いというデメリットがあります。
水の使用は葉から繊維を取り出すときのみという点や繊維が取り除かれた後の葉はバイオマスとして天然肥料やバイオ燃料に再利用される点から、環境にとても配慮された素材ということができます。
③ リンゴレザー
リンゴレザーはジュースを作る際に捨てられるりんごの皮や芯から作られています。軽くて柔らかく、水に強いのが特徴です。また、植物由来のヴィーガンレザーの中でも耐久性に優れています。
Beyond Leather社のリンゴレザー「Leap」の場合、廃棄リンゴ由来の原料(64%)とその他エコフレンドリーな原料(36%)で構成されています。また、Leapは従来の革生産時に比べて85%のCO2排出量を削減し、かつ、製造するのに必要な水の量を99%削減することができます。
④ サボテンレザー
サボテンレザーは高級ブランドでも使用できるくらいに上質なレザーのような質感を持っています。また、リアルレザーとは異なり、撥水性があるのでお手入れが簡単な点がメリットとしてあげられます。耐久性がある素材なので、適切な環境下で使用すれば10年程使用することができます。
環境面では、まずサボテン自体が少ない水で栽培可能な植物なので栽培時の水の消費量を抑えることができます。
メキシコのADRIANO DI MARTI 社が販売している「Desserto」というサボテンレザーはサボテンと植物由来の樹脂からできた100%植物由来のレザーです。そのため、CO2の排出量が少ないです。
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まとめ
調べてみるとリアルレザーをよりエコにしたもの、動物由来ではないヴィーガンレザーなど様々な選択肢があることがわかりました。
革もお手入れをすれば長く使えるという点ではサステナブルな素材だと思っています。ただ、リアルレザーだけが選択肢ではないよということがわかっていただけたら嬉しいです。それぞれの素材にメリット・デメリットがあり用途に応じてうまく使いわけていきましょう!