正直、よっぽどのプロの方ではない限り、パッと見で何の繊維が洋服に使われているかなんてわからないですよね。なので服を新しく購入するときに、繊維が何かというのは、あまり気にしない方がほとんどだと思います。
しかし、たかが繊維と侮るなかれ。それぞれの繊維には特徴やメリット・デメリットがあります。それらを知り、用途に応じて正しく使い分けることで、快適的に過ごせたり、服を長持ちさせることができます。
今回は繊維の中でもメジャーな綿(コットン)にフォーカスをあてていきます。
繊維の種類
繊維は大きく分けて、「天然繊維」と「化学繊維」の二つに分けることができます。その名からもわかる通り、「天然繊維」は植物や動物などの天然素材から作られた繊維です。一方で、「化学繊維」は石油などから化学の力を使って作られる繊維を指します。化学繊維の代表格が、「ポリエステル」です。
世界で生産されている繊維の約27%が天然繊維で約73%が化学繊維です。繊維といえば「コットン」のイメージが強いので、化学繊維が7割以上を占めているということにはびっくりしますね。
今回の記事では、上の図から天然繊維の仲間、綿(コットン)の特徴をお話します。
参考 世界の繊維生産 :中学生・高校生・市民のための環境リサイクル学習ホームページ
綿(コットン)の特徴とデメリット
「ワタ」という植物の木の実を守る役割を持つ「種子毛」というモフモフ部分がコットンの最初の姿です。コットンは繊維生産量の約26%を占めています。つまり生産されている天然繊維のほとんどがコットンです。
まずは、使用時の特徴とデメリットをみていきましょう。
特徴
① 肌ざわりがよい
他の繊維と比べてちくちくしないので、直接肌に触れる肌着に最適です。
② 吸水性が良い
吸収した汗を放出するときに気化熱がでるので、暑い日には体を冷やしてくれる効果があります。
③ 保温性に優れている
衣類にたまった熱を逃しにくい性質をもつので、体温を逃さずに体を温めてくれます。
④ お手入れがしやすい
他の天然繊維と比べると、水に強いので洗濯機で簡単にお手入れができます。また、耐熱性も持ち合わせているので、アイロンをかけても縮むことはほとんどありません。
⑤ 静電気が起きにくい
静電気が発生しやすい化学繊維やウールを着ていても、綿製品を重ね着するだけで、通電がよくなり静電気が起きにくくなります。
デメリット
① しわになりやすい
② 乾きにくい
③ 摩擦により毛羽立ちやすい
これらの特徴やデメリットから、コットンが向いている衣類は、
・季節を問わず、普段着(特に敏感肌の方や赤ちゃん!)
・肌着(触り心地がよく、汗を吸収してくれる)
です!
環境に優しい点/問題点
次に、コットンはどのような点で環境に優しいのか?また、コットン製品は環境・社会の観点からどのような問題点があるのか見ていきましょう。
他の繊維と比べて環境に優しい点があるとしたら、①ポリエステルなどの化学繊維ではないため、洗濯の際にマイクロプラスチックが排出されないこと、②天然繊維のため使用後は自然に還ることです。
一方で、普通のコットンの場合、その環境負荷はとても大きいと言われています。
一番大きな問題はコットンを生産する際に使用する水の量です。例えばジーンズ1本分のコットンを栽培するために必要な水の量は1万リットル以上です。1万リットルは1人分の飲料水10年分に匹敵する量です。
そこで、私たちが考えなければいけないのは、オーガニックコットンの購入です。
参考 WWD Article Regional Forum on Sustainable Development:UNECE
オーガニックコットンとは?
オーガニックコットンとは2~3年以上のオーガニック農産物生産の実績を経て認められた農地で栽培され、使用される農薬や肥料の厳格な基準をクリアして育てられたコットンを指します。また、農作の段階だけでなく、そのあとの染色や縫製といった過程でも、化学薬品の使用が抑えられていることが求められます。そして、環境への配慮だけでなく、労働者の環境や児童労働といった社会規範もクリアしているものが最終的にオーガニックコットンとして消費者のもとへと届きます。
また、非営利団体テキスタイル・エクスチェンジによると、オーガニックコットン栽培のために必要とされる淡水の使用量は従来のコットンに比べて91%も少ないという報告があります。その秘訣は健康な土にあります。健康な土はスポンジのような役割を果たすので、撒いた水や降ってきた雨を逃すことなく溜めることができます。そのため、少ない水で栽培が可能なのです。
参考 How Organic Cotton Uses Less Water, with Y.O.U Underwear : Oxwash Blog